こよみ古今「春」ランドセル

こよみ古今

4月は入学シーズン。この季節のシンボルとなっているのが、新1年生の真新しいランドセルです。

ランドセルはオランダ語の「ランセル」が転訛(てんか)した言葉。幕末、西洋の兵法を取り入れた際にオランダからもたらされたランドセル、すなわちバックパックがその原型で、明治期の陸軍でも革製の背嚢(はいのう)が採用されました。

そのランドセルが通学用に利用され始めたのは、明治18年。官立学校となって間もないころの学習院初等科が最初でした。同校は「教育の場での平等」の理念のもと、生徒各自が自分で学用品を運べるようにと、両手が空いてラクな背負いの通学かばんを導入。その2年後、当時皇太子だった大正天皇の入学に際し、時の内閣総理大臣・伊藤博文がお祝いに箱形の通学カバンを献上、その形が世間にも徐々に浸透・普及していったのです。