『水を縫う』寺地はるな 著

テキスタイル文学館

ウェディングドレスを取り巻く家族の像
「水を縫う」は、2021年度の「青少年読書感想文全国コンクール」高等学校の部の課題図書。
年末の用を済ませ、時間ができたらこの1冊を手に取って今年の“読書納め”をしませんか。

 

水を縫う 寺地はるな

『水を縫う』集英社 初版発行:2010年

主役は、大阪の寝屋川(ねやがわ)に住む、とある家族。この家の息子「清澄(きよすみ)」の独白から幕が上がります。

清澄は、高校に入学したばかり。同居家族は姉の「水青(みお)」と母の「さつ子」、そして祖母の「文枝」。父の「全(ぜん)」は清澄がまだ1歳のころ母と別れ、いまは近くの町で縫製工場を営む「黒田さん」のもとで仕事をしています。

清澄の「最古の記憶」は、自分の横にいる祖母が縫いものをしている姿。