『アトリエ ド ノラ』さんのボタニカル刺繍
クラフト自由帖
刺繡をするときは、「刺していて楽しいか」を大切にしています。「なにか違う、楽しくない」と思ったら刺すのはやめてしまいます。計画的に同じデザインで同じ色のものをいくつも作るのではなく、そのときの気持ちで色や形を変えていくのが楽しいのだといいます。同じようでいて少しずつ違う、それは自然に咲いているお花も同じです。春の野に無数に咲くシロツメクサ一つをとっても、一輪一輪に個性があります。
そんな自然の豊かな造形美、色彩美、そしてそれを慈しむノラさんの思いが刺繍作品からあふれています。道端に咲いているような身近な花にスポットライトをあて、刺繍作品のなかで輝かせることのできるノラさんは、見逃しがちな日常にある美しいもの、かわいいものを見つける達人なのだと思いました。
アトリエドノラさん 展示会情報
アンティーク家具と紅茶の時間をテーマにしたイベント『あったか紅茶フェア2022』に参加。イメージテーマは“フラワー”。定番の花刺繍のブローチやがま口のほか、紅茶フェアにちなんだ作品を展示販売。
会期:2022年1月29日~2月23日(水)
会場:antique Shop GEOGRAPHICA(ジェオグラフィカ)
神谷 珠子 Tamako Kamiya
プロフィール
スウェーデンのテキスタイル専門学校で学び、現地の工房に勤務。その期間と2011年夏にも、へレーナ・ハンマルクさんのタペストリ―制作に携わる。現在、自由学園生活工芸研究所(東京)勤務。
vol.80 2021・冬号より