シュールストレミングとザリガニ スウェーデンの夏を締めくくる珍味
クラフト自由帖
友人のお勧めの食べ方は、たっぷりバターを塗ったパンの上に、マッシュしたジャガイモを敷き詰めてから、シュールストレミングをアンチョビのように散らし玉ねぎ、チーズ、トマトをのせる方法。
シュールストレミングの塩味とジャガイモの甘さのバランスが良く、匂いも何のその、美味しく食することができます。ビールとアクアビット(北欧で親しまれている蒸留酒)があればさらに良し!
シュールストレミングはもともとスウェーデンの北部の地域食。付け合せのパン、ジャガイモ、チーズもスウェーデン北部で作られてきたものです。厳しい地域に生まれた保存食の1つでそれを夏の終わりに頂くことを思うと、感慨深くもあります。
バケツの中で缶を開ける儀式から始まった午餐に、ちょっとしたお祭りみたいな興奮も覚えたのでした。
そして噂の忠告通り、室内で食べるのはやめておいたほうがよさそうです。アトリエの中庭でシュール・ストレミングを食べたにもかかわらず、匂いが強すぎるのか、どんなに換気をしてもそれから数日間は、アトリエの室内でも残り香を楽しむはめになってしまいましたから。
神谷珠子さん
プロフィール
スウェーデンのテキスタイル専門学校で学び、現地の工房に勤務。その期間と2011年夏にも、ヘレーナ・ハンマルクさんのタペストリー制作に携わる。現在、自由学園生活工芸研究所(東京)勤務。
vol.79 2021・秋号より