北川ケイさん著「江藤春代の編物普及活動」を読んで 〈後編〉

林ことみのハンドメイドNavi

北川さんが速調べてくださったところによると、日本に初めて編み物文化が伝わったのが安土桃山時代、技術が伝わったのは江戸時代とのことでした。

裾にドミノ編みを使った子供のセーターを掲載した本は昭和11年刊。つまり1936年の本だと知らせると、ヴィヴィアンさんは驚いていました。彼女は1952年にアメリカで出版された「Number Knitting」が最初と聞いていたとのこと。この本は私も「パッチワークニッティング」(2016年刊/文化出版局)の参考にしました。

北川さんに伺うと、春代は教会などを通じて洋書が手に入る立場だったので、ヨーロッパの本を見て、どうしたらこのように編めるか試行錯誤した様子がうかがえるとのことでした。

ドミノ編みよりちょっと複雑な編み方

ドミノ編みよりちょっと複雑になる分いろいろ楽しめる編み方。「春代さんはどのように編んだのかしら…」と思いを巡らせながら編んでみました。

北川さんのレクチャーで見た、ドミノ編みの考え方と同じ、3目一度をすることで面白い模様になる裾模様のワンピースを見て、私も自分なりに編んでみました。作り目は39。2箇所で3目一度をすることでラインが2回折れ曲がります。

この減目をする箇所をどこに入れるかで長方形になったり正方形のようになったりします(写真参照)。つなぎ方はドミノ編みと同じように1枚編んだら一辺から目を拾い、残りの目を作り、モチーフを編みます。編む方向を上下入れ替えたら春代の作品のようになるし、同じ方向につないでもまた印象が変わります。

ヴィヴィアンさんからは「私たちが所属するニット協会(Gavstrik)の会報に、春代や日本のニットの歴史の記事を一緒に書きましょう」と提案されて、楽しみにしているところです。