暮らしのなかで「経年美」を楽しむアンティーク絨毯の世界

鑑賞レポート

世界中愛されてきた ペルシャ絨毯 

トライバルラグが遊牧民の自家用絨毯とすれば、ペルシャ絨毯はイランで織られる絨毯全般を指し、工房や家庭で織られています。冷たい石の床に温かい 絨毯は欠かせないもの、イランの生活に根付いた調度品でもあります。

イランは古くから養蚕も盛んで質の良いシルクを生産していて、産地によっ シルクとウールの絨毯が存在します。

ペルシャ絨毯

1940年ごろのカシャーン産ペルシャ絨毯

日本ではバブル経済期に盛んに輸入されたペルシャ絨毯のイメージなど から、素材はシルクと思われがちですが、パイル織に最も多く使われているのはウール。「コルクウール」といって、子羊の産毛から刈り取った柔らかく保温性の優れたウールを使った絨毯も織られています。

イランで愛されてきた美しいこの絨毯は、ヨーロッパをはじめ世界中の人々の心もつかんできました。ルネッサ ンス期の絵画にもペルシャ絨毯が描かれていて、絵画を通してその時代の絨秘を見ることもできます。日本では「動く美術館」といわれる祇園祭の山鉾を飾るペルシャ絨毯が有名です。