繊細なボビン・レース、そして産業革命の重み
糸を旅する
つぎに訪れた町は、ボビン・レースの歴史にその名を残してデボン州のホニトンである。
1840年、ヴィクトリア女王のレースの婚礼衣装とヴェールは、この町の熟練者200人が7ヶ月かけて編んだという。英国王室に代々伝わる洗礼式の衣装もホニトン・レースで、日本には明治期イギリス人教師(Gertrude Smith)がホニトン・レースを中心に教えたという。
小さな古い教会をミュージアムとして使い、毎日交代で実演を見せてくれる。
嬉しくなって、ガラスケースの中にあった古いボビンをいくつか購入した。ボビンに付いているガラスビーズは装飾だが、転がらないという利点と、作業の途中の目印にもなる。通りがかりに立ち寄った雑貨屋で、古風な麦わら帽子とフランス製リネンのナイトウェアを入手した。こういう買い物は気分を弾ませてくれる。