『毛糸よさらば』ジル・チャーチル著
テキスタイル文学館
さらにこの時期は、クリスマスの催しの準備やご近所とのやり取りでバタバタ。ジェーンの身内の女性たちはみな、編み物は得意なのに、彼女ひとりがなぜか苦手。それで、クリスマスのバザーに出すためのかぎ針編みのブランケット作りにも悪戦苦闘していました。
そこに、結婚して間もないころ同じ安アパートに住んでいた「フィリス」という女性が訪ねてきます。かつてのフィリスはふんわり穏やかな性格、そしてタティングレースもできるという手芸上手な人でした(いずれもジェーンとは対照的…)。その後、フィリスの夫は仕事で成功を収め、お気に入りのカリブ海の島を買い取ってセレブ暮らし。いまではクリスマスに手紙をやり取りする程度のつき合いになっていました。
そんな彼女を迎えに空港に行くと、フィリスは美形の少年を伴って現れます。それはジェーンも存在を知らなかった、フィリスが10代で産んで養子に出した息子。その子の性格が、かなりの〝難あり〟で…。そして事件が起こります。
ここから〝主婦探偵ジェーン〟の面目躍如。持ち前のひらめきと観察眼で、事件の謎に迫っていきます。そんな状況のなかでもバザーの準備は同時進行。四角いパーツをつなぎ合わせる「グラニースクエア」のブランケットも作り進めていきます。