墨色のカセ

「ヤシャブシ」の鉄媒染で美しい墨色

体験 REPORT

体験REPORT  おうちで染色

秋が深まるころから冬にかけて見られる、褐色のヤシャブシの実。生活圏内にも生えることがある木なので、足もとにころころと転がる楕円形の松笠状の小さな実を見かけたことがある人もいらっしゃるのではないのでしょうか?
ヤシャブシの実はタンニンを多く含むことから古くは黒色の顔料やお歯黒などに用いられたそう。また、黒染めの「五倍子(ふし)」の代用染材とされ、またゴツゴツした果穂が夜叉を思わせるため、「夜叉五倍子」という字をあてられることもあります。

今回は、昨年~今年に採取したヤシャブシでシルクの糸とリネンのストールを染め、鉄媒染をしました。煮出すと、何度でも濃い染液が取れます。最初に5回煮出し、追加で3回と計8回煮出しましが、煮ても煮ても力強い褐色が出て、永遠に染液がとれるのでは?と思うほどでした。

草木染めをすると植物が持つパワーにいつも驚きと感動をもらいます。今回もヤシャブシの持つタンニンと鉄の反応による色の変化が面白く、染め上がった艶やかな美しい墨色に心奪われました。

ヤシャブシの実と染める糸

左:矢車附子(ヤシャブシ)カバノキ科ハンノキ属。本州、四国、九州に見られる落葉小高木。オオバヤシャブシ、ヒメヤシャブシ、ミヤマヤシャブシの3種があり、どの木の実も染材になります。
右:染める糸 シルク50g(2綛)