知っておきたい「紡毛糸」のこと 2

糸と手しごとファイル

羊毛が「紡毛糸」になるまで

糸作りのかなめは「どんな糸を作るか」

紡毛糸の製造は梳毛糸と比べて工程が少なく、短期間で糸が紡げます。とはいえ、原毛が1本の糸になるまでには非常に多くの工程を要します。ここでポイントをおさえながら、作業の流れを追っていきましょう。

原料の調達

糸作りの始まりは、「どんな糸を作るか」を決めること。そしてその目的に適した原料の手配にかかります。

先ほども紹介したように、ヒツジには多様な種類があり、同じヒツジでも飼育環境や毛を刈る部位などによっても質は異なります。その中から、作りたい糸に適したウールを選び出します。

さらに「アンゴラ」「カシミヤ」などの獣毛や、「ナイロン」「アクリル」「レーヨン」などの合成繊維・化学繊維…。糸の風合いや求められる強度に応じて混紡する原料も調達し、別の素材の長所も取り入れて、糸にします。

調合

原毛は調合前に洗うなどして脂分を落として使用されますが、調合時には改めて油(紡績油)や水分を加えて、解毛作業にかかります。これは繊維が均一に混ざり合うようにするのが目的で、何度も繰り返し行われます。

なお油分を洗い流すのは、糸ができ上がってから。つまり次の「カード」や「紡績」の工程でも、油を含ませたまま作業をします。これによって、細い繊維はオイルに守られて、風合いを保たせることができるのです。