瀬戸内海沿岸地域は、年間を通じて温暖少雨。春も一足早くやって来て、二つの「春の海」のような、やさしい表情を見せてくれます。
一方、同じ瀬戸内海にありながら、ほかの季節より荒々しさを増すのが、春の鳴門海峡。理由は、地球と月、太陽の位置関係にあります。特に春分の大潮はこの3つが一直線に並ぶため、引力の影響は最大に。それによって引き起こされる潮の干満の差も最大になり、潮の流れが速まって、大小無数のうずをつくり出すのです。
静と動――
二つの海が「会いにおいで」と招く春。
旅をするにもいい季節です。
vol.25 2008・春号より