紡績会社がPCR検査試薬を製造

ニュース・クリップ

レーヨン製造から始まった
バイオテクノロジー

コロナ渦で日本の繊維業界が、暑い夏にむけて接触冷汗素材「アイスコットン」を使用したマスク製造に取り組むなど「ものづくり」の力を見せました。
そんななか、思わぬところでも明治15年創業の老舗紡績会社の名前を見かけました。

それは、新型コロナウィルスの「PCR検査」についてのニュース。国立感染症研究所が策定・公表した検出マニュアルに同社製の試薬が掲載されたことを受け、急きょ生産を引き上げたというのです。

この企業は、昭和初期の1927年、レーヨンの生産を開始。’41年にはその原料となるパルプの製造も開始しました。植物繊維を原料とするレーヨンは、土に還すことができるエコな素材として認識されています。ただしその製造過程では、においの強い廃液も出ます。

戦後、同社は環境汚染への監視の高まりを背景に、酵母を使った廃液処理の研究に着手。それが、こんにちに至るバイオ事業の足掛かりとなったようです。