寺川真弓 織展
Te・ひと・作品個展REPORT特集
「きれいな糸や染め色。それは私ではなく、お蚕さんや草木が見せてくれるもの。私はその第一発見者だと思うんです。織作品にすることで、その美しさを多くの人にも伝えられれば…」という寺川さん。今回の会場となったギャラリーでは織の展示は珍しく、これまで織になじみのなかった人にも「織でこういうことができるとは」と、興味を持って見てもらえたそうです。
「織は祈りに似ている」。以前のインタビューで聞いた、寺川さんの言葉が印象に残っています。心を鎮め、集中し、目標へと向かう―。織はまさに祈りにも似た手仕事です。今回目にした作品―祈るように、無心に織られた作品たちは、不安がぬぐえぬこの時期にあって、穏やかな日々への願いが形になったよう。明るさ・やさしさに満ちた彩りが、心の中をほんのり温かくし、解きほぐしてくれました。
寺川真弓さん
プロフィール
奈良県生まれ。1987年、京都教育大学教育学部特修美術科卒業。在学中には川島テキスタイルスクールでも学ぶ。着物会社・テキスタイルメーカー勤務を経て、染織作家として活動を開始。1996年、全日本新人染織展への出品を皮切りに、展覧会への出品・個展を開催。5年前、桑の栽培・養蚕から自分で行うために生駒の山腹に転居し、現在に至る。
寺川さんのHP terakawa.la.coocan.jp
vol.77 2021・春号より