トルコのテキスタイルを歩く(前編)
糸を旅する
市場を歩くと、女性たちのお洒落ポイントである色とりどりのスカーフのさまに、思わず写真を撮る。頭を包んだ様子がイメージできるように、布の一角を吊り下げているのが楽しい。
絨毯と針仕事
さっそくメフメットさんが経営する絨毯店に寄り、床にうずたかく重ねられた絨毯を1枚ずつ説明を聞きながら見せてもらう。手で作るのだから、二つと同じ物はない。中でも目を惹いたのは毛足が長い遊牧民のもので、ベージュやグレー、濃茶など染めていない天然の色糸で織ったカシュガイ族のものも魅力的だ。一気に何十枚も見ると、それらの色と模様が頭の中でぐるぐると回りだす。 絨毯商という仕事は昔から男性の領域で、その理由は絨毯が重いことや遠距離を運搬すること、また高価であることも無関係ではないと思う。政教分離のトルコであっても、2007年時点で女性が人前で活躍する機会はごく限られていた。それから十年以上経った今、どんな様子なのだろうか。