トルコのテキスタイルを歩く(前編)
糸を旅する
彼らは絨毯屋で働きながら各地の絨毯の構図や文様の意味などを憶え、知識をふやしていく。店の番をしながら、織り上がった敷物のタテ糸の始末をしたり、糸が擦り切れているところを繕ったり。トルコにはいたるところに絨毯を商う店があり、そこに必ず修理をする人が居る。その腕前に、惚れ惚れする。そうした光景は日常なので地元の人は目もくれないが、通りがかかりの外国人が側で手元に目をこらしていても、邪魔者あつかいしないのはありがたい。
こちらは目だけで挨拶をして、黙って眺めているのだが時間を忘れるほど面白い。おそらくこうした作業をすることによって、いろいろな種類の糸や素材の特徴、織物の構造や状態を経験的に理解していくのだろう。