北川ケイさん著「江藤春代の編物普及活動」を読んで 〈後編〉

林ことみのハンドメイドNavi

日本初のニット本と
春代のドミノ編み

北川ケイさんが書かれたこの本を読みながら、デンマークに住むヴィヴィアン・ホクスブロさんに内容をかいつまんで説明しようと思いたちました。それで英訳を始めたのですが、日本で言うところの「編み物」は、棒針編みなのかかぎ針編みなのかはっきりしません。

日本で初めて出版された編み物本(明治20年刊)のタイトルが紹介されていたので、ネット検索したところ古本が入手できるとわかり、早速購入! 届いた本のページをドキドキしながら繰ってみると、はし書きに「編み物はかぎ針と棒針を使って行う」とありますが、作品は全てかぎ針編みでした。

ページ数は68ページで、タイトルは『図入 毛糸編物法』。タイトル通り編み方イラストが入っています。基本の編み方があって、作品は巾着袋、よだれ掛け、帽子、靴下、お守り袋、驚くのは果物のビワや朝顔を編んでいること。

これらはイラスト入りですが肩掛けにはイラストがありません。今のニット本と比べると説明は実に簡単ですが、これで編めていたということは当時の人々の理解力の高さに感心します。著者は男性で一体この方はどのようにしてかぎ針編みを習得したのか、イラストは誰が描いたのかなど、新たな疑問が湧いてきます。

英文の要約ができ、ヴィヴィアンさんに本と一緒にお送りしたところ、早速質問が来ました。
「日本のニットはオランダ人水夫が伝えたと聞いているけど、どうなの?」「巻末のドミノ編みの原典は、いつ出版された本なの?」