宙を彩る自然の色と光と影
Te・ひと・作品個展REPORT
過去から受け継いだ伝統を
いまの時代に生かす表現
「糸を染めて、織る。数年前までの私はその行為に何か“芯”になるものが欲しくて、もやもやと考えていました」
読書家の彼女はさまざまな書物を開き、織りの本質を探した。その中で出会ったのがフランスの哲学者、シモーヌ・ヴェイユの言葉だ。
“祈りは魂にとって可能なかぎりの注意力を尽くして神の方へ向かって行くことである
細い糸を織る。それは非常に集中力の要る行為だ。こころを一点に集中させ、声なき声を聞き、いまだ見えざるものを心眼で懸命にとらえようとする試み。確かに織りは祈りに似ている。
手仕事という“祈り”は続いている。ただ、いまは自身に縛りを設けていたかつての窮屈さからは脱したという。