『きなりの雲』石田千 著

テキスタイル文学館

老若男女、編み物の縁でつながった人びとと接したり。そうした中で、彼女は徐々に自分を取り戻していきます。ふんわりニットを敷き詰めたかのような“世界”にソフトランディングして立ち上がり、一目一目編むように、またゆっくり歩きだすのです。

その心模様や日常を、平がなを多用したやさしい文章でつづった作品です。

 

この記事でご紹介した本
『きなりの雲』 石田千 著 講談社文庫 

◆著書プロフィール
石田千【いしだ・せん】
1968年、福島県生まれ。東京育ち。2001年、『大踏切書店のこと』で第1回古本小説大賞を受賞。’11年『あめりかむら』、’12年『きなりの雲』、さらに’16年『家へ』が芥川賞候補となる。’16年からは東海大学文学部文芸創作学科教授。

vol.68 2018・冬号より