『掌の小説』より「小切」川端康成 著

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やがて美也子が片袖を付けるのに取り掛かったころ、伯母が一人の青年将校を伴い、訪ねてきます。そして…。

なにげない日常の一コマ。わずかな時間を切り取った短い文章なのに、鮮やかな情景、複雑な情感、川端文学のエスプリもしっかりと感じ取ることができます。すぐれた和歌や俳句にも通じる掌編の醍醐味。それを味わわせてくれる一作です。

 

この記事でご紹介した本
『掌の小説』より「小切(こぎれ)」
川端康成 著 新潮文庫 

◆著書プロフィール
川端康成【かわばた・やすなり】
大阪生まれ。東京帝国大学国文学科卒業。大正から昭和の戦前・戦後を通して多数の作品を発表。1968年(昭和43)にはノーベル文学賞を受賞、近現代日本文学の頂点に位置する作家の一人として知られる。代表作は「伊豆の踊子」「雪国」「眠れる美女」「古都」など。「小切」は戦時中の´44年(昭和19)7月に発表された作品

vol.78 2021・夏号より