天然由来のマイクロファイバー パイナップル繊維
ニュース・クリップ素材のはなし
17世紀の「ピーニャ」が21世紀の世界へ
いまこうして注目されるパイナップル繊維ですが、その大生産国であるフィリピンでは、17世紀から実用の歴史が始まりました。パイナップルは南米原産の植物。フィリピンにはスペイン統治時代に伝えられ、その葉からとれる繊維「ピーニャ」を利用するために栽培が始められました。
同国ではさらに古くからマニラ麻(アバカ)を使った織物がつくられていて、その技術がピーニャの紡織に応用されたようです。パイナップルの繊維は細いだけでなく強さもあり、通気性・吸水性にもすぐれています。そうしたメリットを生かして織られたのは、オーガンジーのような透け感のある生地。
同国のフォーマルウェアとしていまに伝わる「バロンタガログ」(シースルーのシャツ)も、ピーニャ素材です。また複雑な刺繍を施した繊細なスカーフやハンカチは、18~19世紀、高級品としてヨーロッパに輸出され、貴族たちに用いられました時は流れ、21世紀に。サステナビリティーへの取り組みが進められるこの時代、パイナップル繊維はさらに活躍の場を広げていきそうな気配です。
vol.77 2021・春号より