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羊 毛刈りの季節に

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身近な素材・ウールが“高値の花”に!?

ニュージーランドの国土は日本の4分の3。そこに住む人は約420万人、羊はその10倍以上の4千数百万匹にもなるそうです。逃亡羊の出来事も、そんなのんびりした「羊の国」だからこそ起きたことなのでしょう。

その隣のオーストラリアも大産毛国で、オーストラリア政府農業資源経済局(ABARE)発表による統計によると、07年の農産品輸出高第2位が「ウール」。日本に輸入されるウールのおよそ9割もオーストアリア産といわれています。

ただ近年は、両国とも飼育数が減少。「人ひとりに10匹の羊」のニュージーランドも「人ひとりに24匹」などといわれた時期がありました。減少の原因の一つは「ウール安」。利益減少から、ニュージーランドでは観光客に向けて毛刈りショーをしてみせて収入を得たり、飼育しやすい鹿を飼ったり。オーストラリアでは、より値の張るアルパカの飼育に切り替える牧場主も目立ちます。また自然災害に見舞われて、減少に拍車がかかりました。

こうした背景から市場は一転、現在ウール価格が高騰しています。原油高騰で輸送コストがかさむなど、さまざまな要因も絡んできているようです。このままでは、身近な素材・ウールが“高値の花”となり、遠くへ行ってしまう…?局面を乗り切ろうと今、業界ではさまざまな努力が続けられています。

vol.25 2008・春号より