綿の実

日本に根付き、実を結んだ「和綿」を次代へ

素材のはなし

ストップ!「綿自給率0%」

和綿は繊維が特に短く、手で紡ぐ分にはいいのですが、機械で大量に処理するのには不向き。機械化が進んだ明治以降は価格面からも外国の長繊維に押されて、和綿は減少します。さらに保存性の低さが和綿の種の弱み。種を取った翌年はほぼ100%発芽するのに、1年空けると3分の1程度に減少、さらに1年置いた場合の発芽率は1%まで急降下してしまいます。逆にいえば、育て続けることが、和綿を守る有効な手立てなのです。

時代の移り変わりとともに、どこかへ消えていった和綿。日本の綿自給率自体が、現在は0%に近いといわれています。そんななか「和綿を守り、綿づくりの文化を未来へと結んでいきたい」と強い思いをもって和綿の種の保存・普及に取り組む人のネットワークも結成されています。

春から初夏にかけては綿の種まきの季節。栽培はそう難しくないので、種を手に入れて、庭やプランターで育てて、綿づくりの輪に参加してみるのも楽しそうです。

vol.29 2009・春号より