河原林美知子さん作品展

河原林美知子さん作品展「Identity」

Te・ひと・作品個展REPORT特集

Identity作品_01

作品のベースとなっている帯の芯地は、「ある京都の帯屋さんが〝廃業するので何かに使って〟と譲ってくださったのです」。一部は黄色に染めたりもしたそうですが、最終的には白地のみで作品を構成。色は、黒い糸を中心に、部分的に赤や黄緑の糸をアクセントに使う程度にとどめました。

Identity作品_02

何色にも染まらない白。色としての主張を抑えた分、作品のそばに立つと、視界を包み込む白の世界に引き込まれそうな感覚に陥ります。そして動きのある長い芯地は、自分の中にあるDNAのらせん―まさに個の独自性にも想像が向かうのでした。白い生地はまた、黒の糸の描き出す文様や、ハリ・しなりなど「糸」の表情の面白さを見せてもくれます。