技法もとりどりのオヤ

トルコのテキスタイルを歩く(後編)

糸を旅する

通りは買物客であふれんばかり

通りは買物客であふれんばかり

紙片に巻かれたオヤ

乾燥しきった道を約300キロ、かつて隊商たちが行き交ったオアシス都市アクサライトを経て、ヒッタイト時代からの焼物の町アヴァノスへ。町はトルコ最長のクズル川(クズルは赤いの意で黒海に注ぐ)沿いにあり、川面に浮かぶ水鳥はゆらゆら流れていく。

その夜は古風な石造りの宿で疲れをとり、翌朝彼らと別れて洞窟の住居や教会を歩いてまわる。

オヤを巻いた紙には名前がかかれている

オヤを巻いた紙には名前がかかれている

ここは観光地なので土産物屋も多いが、その中にスカーフの縁飾り「オヤ」の店を見つけた。被り布1枚分の長さのレースが厚紙に巻き付けてある。縫い針を使って糸を結ぶ「イーネオヤ」だけではなく、かぎ針レースの「トゥーオヤ」、ボンジュクと呼ぶビーズの「ボンジュクオヤ」、ヘアピンレースは「フィルケテオヤ」、まれにシャトルを使った「メキッキオヤ」もある。好みのオヤを選んで被り布の縁に縫い付けるらしい。

紙には名前と価格があり、売れたら作り手に代金を渡すことになっている。この助け合いシステムは女性たちの貴重な現金収入であろうし、彼女らの活動に興味をひかれていくつか買い求めた。