技法もとりどりのオヤ

トルコのテキスタイルを歩く(後編)

糸を旅する

ブルサの博物館で見た骨製の針

ブルサの博物館で見た骨製の針

そこに針があった

液晶画面に触れるだけで事足りる日常となりつつあるが、人の手で作り、機械に置き換えられないことへの欲求と憧れが、今後ますます求められるのではないだろうか。

針仕事が取るに足らないものだと、いったい誰が決めたのだろう。そもそも縫い針は人類が発明した最も古い、そして重要な道具の1つなのである。

手と針によってうみだされたオヤの花々に目をこらすと、ひたひたと心の内に満ちてくるものがある。

◆トルコに関して、イスタンブール在住のともえダール氏にご教示いただきました。

ひろいのぶこ さん
プロフィール

兵庫県神戸市生まれ。京都市立芸術大学 美術学部 工芸科 卒業後、同大学美術専攻科 染織専攻 修了。長年にわたり母校で教鞭を執り、2017年に名誉教授となる。繊維を用いた作品を制作しながら、世界各地の染織の現状等を調査・研究し、工芸資料を収集。作品は京都市美術館ほかハンガリー、フランス、アメリカなど海外の美術館にも収蔵されている。

vol.83 2022・秋号より