日本の編み目記号の基礎をつくった「江藤春代」という女性 〈前編〉
林ことみのハンドメイドNavi
江藤春代、彼女の生涯から日本の編み物の歴史を読み解く
文/林ことみ
日本でウール生地や毛糸が一般の人々の生活に取り入れられるようになったのは明治時代以降、ということは想像に難くありませんが、
編み物はどうやって広まっていったのか、
以前から知りたいと思っていました。その歴史をひも解いた本「江藤春代の編物普及活動」が出版されたのでご紹介したいと思います。
この本の著書北川ケイさんとは3年前、ヴォーグ社で開かれたイベントで知り合いました。
古い編み物関連道具、ほどいた毛糸に蒸気をあてて伸ばす機械や、古いレースなどを展示するブースがあり、目を引かれて友人と見ていたところ、声をかけて、いろいろ説明してくださったのが北川さんご本人でした。
「自宅に展示室があるので、よかったら遊びにきてください」と言われ、お言葉に甘えて、その年の12月にお邪魔しました。古い本のコレクションや見たこともなかったレース編みの造花など、たくさんの収集品はどれも珍しいものばかりでした。