植物が描き出す色の世界~植物染料の多様性と、ふしぎ~

PICK UP!


◆ムラサキ草
古来、紫の染めに用いられたムラサキ草の根は「紫根」から名づけられた「シコニン」という紫の色素を含んでいます。
ムラサキ草の根

 

植物で「緑」を染める試み

植物といえば「緑」が代名詞。その緑の正体は「クロロフィル」、いわゆる葉緑素です。ただ、クロロフィルは構造が複雑でこわれやすく、しかも水に溶けない性質のため、他の色素と同じように水に抽出して洗液を作っても、葉の緑そのままのような色に染めることができません。そのため青を染める藍と、黄藍や刈安など黄色の色素をもつ素材で染めて緑にする方法がとられてきました。

近年は、アルカリ液で葉を炊き出して緑色に染める方法なども研究され、徐々に啓蒙されてきています。そうした方法が確立すればもっと手軽に、確実に、緑染めが楽しめるようになるのは近いかもしれません。

 

vol.50 2014・夏号より