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美しい光沢、なめらかな感触…「プラチナ」を思わせるウール誕生

『te(て)』記事より

2025/03/05

 

 

国際的なテキスタイル展示会でお披露目された「プラチナウール™」

 

時代のニーズに即したテキスタイルの提案の場となっている、国際的な展示会「ミラノウニカ」。2024年7月に開催されたその会場で、繊維テクノロジー開発に携わる日本企業が開発した、ある新しい素材がお披露目されました。

 

それはウール100%でありながら、シルクのようなツヤ感・ドレープ感を持つ「プラチナウール™」という素材です。繊維径はわずか14.5ミクロン。カシミヤに匹敵する細さで、なめらかな肌ざわりが特長。ひんやりとした感触もあることから、春夏素材としての企画も期待されています。

 

天然素材のウールの主成分はタンパク質。だから時間が経てば土に戻り、水中でも分解されるため、環境負荷が抑えられます。またウールは製造過程でエネルギー・水の消費量も比較的少ない、地球にもやさしい繊維とされています。

 

SDGsの取り組みが重視される昨今、そうした観点からもプラチナウールは注目を集めたようです。

 

 

羊毛を磨き上げることでチクチク感・毛玉を抑える新技術

 

プラチナウールの光沢。それは、メリノ種の羊毛を1本1本磨くことによって実現したとのことです。

 

私たち人間の髪が「キューティクル」に覆われているのと同様に、羊毛も内部組織を守るために、表面はウロコ状の「スケール」に覆われています。このスケールが閉じたり開いたりすることで湿気をコントロール。それが暖かい、また汚れが付きにくいなど、羊たちが自然の中で生き抜くのに必要なさまざまな機能をもたらしています。

 

ただ、人がウールを活用するとき、スケールが粗いとチクチク感のもとになり、毛玉の原因にもなってしまいます。それを抑えるために繊維を磨き上げて、スケールの凹凸を取り除いたのがプラチナウールです。

 

 

 

21世紀のテクノロジーが歴史ある毛織物産地を結ぶ

 

愛知県一宮を中心とする「尾州(びしゅう)」、英国の「ハダーズフィールド」、そして北イタリアの「ビエッラ」。これら3つの地域は、「世界三大毛織物産地」とされています。

 

「ビエッラ」はミラノの西方100キロほど、アルプスのふもとに位置します。その地で操業する企業との提携で、プラチナウールの生地の製造・販売が進められ、欧米市場へと打って出ることになりました。

 

なおプラチナウール糸の生産を手掛けるのは、尾州の老舗繊維メーカー。新しい技術が、歴史ある毛織物産地を結びつけるなんて、なんだかステキなニューズですね。

 

 

ておりや通信『te』vol.88 ニュースクリップより

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