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赤穂緞通(あこうだんつう)―咲きつなげられる伝統の華―

『te(て)』記事より

2025/02/05

 

咲きつなげられる伝統の華

 

赤穂(兵庫県)で織り続けられている敷物、赤穂緞通。2023年はその創始者の生誕200年にあたり、これを記念して2023年11月~2024年1月、赤穂市立歴史博物館で「赤穂緞通展」が開催されました。

 

 

赤穂緞通は江戸末期、「児島なか」という一人の女性が四国・高松で出会った中国の絨毯「万暦氈(ばんれきせん)」に感動したところから始まります。それから26年間にわたり研究・試行錯誤を重ねて、明治7年(1874)に完成させました。

 

 

赤穂緞通の機は床と水平の水平機で、鍋島・堺の緞通などの竪機とは異なります。 またその技法の独創性にも驚かされます。

 

 

 

明治から大正期に隆盛を極めた赤穂緞通でしたが、1990年代には織り手が阪口キリヱさん1人となり、存亡の危機を迎えます。そこで市の教育委員会は技術伝承のために阪口さんを講師に迎えて技法講習会を開催。現在では約30名の織り手が活動しています。

 

 

今回、幸運にもその講習会の一期生である見並なおこさんに、会場と工房を案内してもらうことができました。見並さんは15歳の若さで赤穂緞通に魅了され、阪口さんの講習を受けます。そしてこれまでに、海外用に織られていた藤緞通を糸作りから復元、獣毛の緞通の復元などにも挑戦されています。

 

 

見並さんの案内で訪問した「弥生工房」を主宰するのは、根来節子さん。彼女は見並さんと同期生で、育てた綿で緞通を織るなど意欲的に制作、研修生を受け入れ、指導することにも携わっています。

 

 

訪問時(2024年1月)は、研修生の廣津真由さんが技術習得修了作品の制作中でした。廣津さんは3月に故郷・大分に戻り、工房を開いて活動しているとのこと。

 

 

廣津さんの姉弟子である阪上梨恵さんは独立後に「工房 六月」を設け、織り手でありながら古緞通を収集・研究。国内外で展示会を開くなど、赤穂緞通の魅力を伝えることにも注力しています。そしてまた新たな研修生が根来さんのもとへ…。

 

 

「赤穂緞通を織りたい」。その思いと赤穂の地で受け継がれてきた伝統の技は、こうして長くつながっていくのでしょう。

 

取材協力:工房「結」主宰 見並 なおこさん

 

◆赤穂緞通 工房 結 主宰 見並なおこさん
【instagram】@akodantsu_yuu

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◆赤穂緞通 弥生工房 主宰 根来節子さん
【instagram】@akodantsu_yayoi

 

◆赤穂緞通 六月 主宰 阪上梨恵さん
【instagram】@akodantsu_mutsuki

【HP】https://www.akodantsu-mutsuki.com/

 

◆赤穂緞通 纘月(さんがつ) 主宰 廣津真由さん
【instagram】@akodantsu_sangatsu

 

●参考文献:「赤穂緞通 AKO Dantsu Rugs」(赤穂緞通 六月 阪上梨恵 著)ほか

 

 

ておりや通信『te』vol.88
取材:園 知佐子(ておりや東京スタッフ)
鑑賞レポートより

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