オリジナル糸・織機・輸入クラフト用品のお店
2018/12/13
この秋、ておりやは「eウール」新発売しました。
この糸の原料はウール100%、それも直径わずか「18・5μ(ミクロン/=0.0185ミリ)」という貴重な極細の原毛を100%使った紡毛糸です。 細い繊維なので、肌ざわりはとても柔らか。その特徴を生かし、ふんわり甘撚りにして、編みやすい太さ(6番双糸)の糸に仕上げました。
今日はこのeウールについて、ご紹介いたします。
羊には非常に多くの種類が存在しています。その羊ごとに毛にもそれぞれに特徴があり、その「太さ」も千差万別。
その中でも、繊維が細いほどしなやかさはアップ。市場でも細い原毛を使った糸は「上質」「高級品」として扱われています。
手織り・手編み用の毛糸の場合、多くのものは20μ以上。ソフトな糸でも20.5μぐらいの「梳毛糸」が主流となっています。
これに対し、eウールに使用している原毛は高級ランクの18.5μ。それを100%使用した、こだわりの糸です。
「18.5μ」と聞いても、どんな“細さ”かピンとこないかもしれませんね。
そこでイメージしやすいように人の毛髪と比べてみることにしましょう。
日本人の毛髪の直径は「平均80μ」といわれます。
ここから、毛髪の大まかな断面積(半径×半径×3.14)を計算すると、
40×40×3.14=5,024
一方、eウールの断面積は、
9.25×9.25×3.14=268.66…
ふたつの数字を比較すると、eウールの繊維18~19本でようやく髪の毛1本分、という細さであることがわかります。
よく「ウールはチクチクする」という声を聞くことがあります。
多くの人の場合、20μ以上の太い繊維が肌に接すると「チクチク」を感じるのだとか。先ほども触れたように、一般的な毛糸をはじめとするウール製品には、20μ以上の原料を使っていることが多く、「直接肌に触れるのが気になる…」という声が上がるようです。
eウールの18.5μは、この「チクチク感」のボーダーラインをクリアする数字です。だからeウールは「チクチクしない糸」、これがeウール最大の特徴です。なので、素肌に直接着るタイプのセーターや、首に触れるマフラー作りなどにもおすすめ。
ちなみに20μ以下の繊維といえば、肌にしっとりなじむ「カシミヤ」、ふわふわの「アンゴラ」、さらに世界最高級の素材とされる「ビクーニャ」(ビキューナ)などなど。いずれも感触抜群の高級素材としておなじみですね。
植物素材でも、「リネン」に比べて繊維の太い「ラミー」に肌ストレスを感じる人がいるのは、この“20μ”の壁も影響しているのでしょう。
コットンの場合、「繊維長」によって等級付けがされていますが(繊維が長いほど上級)、「スーピマ綿」や「エジプト綿」、「海島綿」などのハイグレードコットン(超長綿)には繊維が細いという特性もあり、肌ざわりが柔らかです。
eウールのもう一つの特徴、それは「紡毛糸」であること。
紡毛糸の魅力の一つは、織り地・編み地を洗って縮絨させると、驚くほど感触が変わるところにあります(だから“化ける糸”なんて言いますよね)
もちろんeウールも、縮絨によってふんわり感が増して、さらに肌ざわりが良くなります。
でも、この糸を完成させるまでにはいろいろな難しさもありました。細い繊維は機械にからみやすく、あまり太い糸を作ることはできません。eウールは6番双糸。この「6番」という太さは、18.5μの繊維を糸にするには、ギリギリの太さなのです。
紡績・撚糸・染色の工程をすべて日本国内で行い、ようやくこの秋、皆さまにお届けできることになったのです。
一見シンプルだけど、この糸ならではの魅力がいっぱい。特別にオーダーしたものでもない限り、一般にはなかなか出回らないレアな毛糸です。
ぜひeウールのやさしい質感を手に感じながら創作を楽しみ、肌ざわりの良いアイテムを使って楽しんでください。