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「クラフトキャンプ」に参加しました(後編)―林ことみのハンドメイドNavi

『te(て)』記事より

2024/09/11

ムフの伝統ニット

 

アヌー・ピンクさんのワークショップ

 

前回に続き、エストニア・ヴィリャンディでのでの「クラフトキャンプ」のレポートをお届けします。

 

4日目は遠足。好きな行き先に参加するのですが、私はアヌー・ピンクさんのお店でワークショップを受けるコースに参加しました。アヌー・ピンクさんは『ムフの手仕事』『エストニア伝統ニット1・2』などの著書があり、エストニアのニットを広く研究している方。一度お目にかかりたいと思っていたので、クラフトキャンプの主催者に、アヌー・ピンクさんに会えるかどうか聞いたところ、このコースを勧めてくれました。

 

Saara Kohvituba 看板

 

彼女はカフェに毛糸と本のお店を持っていて、出版もしているようでした。アヌー・ピンクさんと少し話をするチャンスがあったので、リガ湾に浮かぶルフヌ島のニットのことなどをお聞きしました。「エストニアのニット全般を調べていらっしゃるようですが、このような研究をするのはあなたが初めてですか」と質問しました。

 

「それぞれ専門のニット研究家はいたけれど、エストニアのニットをいろいろ研究したという点では初めてかもしれない」と。かつてはミュージアムのコレクションに「きれいな模様」などの感想を持つだけでしたが、アヌー・ピンクさんはそれらのテクニックを調べて本にされました。ルフヌのニットもちょうど本を作っているところだと伺いました。

 

糸端の始末の方法

 

縫物

 

ワークショップで作った小さなバッグはニットキャップからイメージしてアヌー・ピンクさんがデザインしたものでした。キットの中にキャンディが入っていて、編み上げた方はみんなこのバッグの中にキャンディを入れていました。話を聞いているとクリスマスオーナメントにするといいようでした。ぶら下げるループは編み始めの糸を残しておいて、三つ編みをして作る説明を途中から聞き、少ししか残していなかった私は仕方なく別に作ってとじつけました。糸端の始末の方法としては面白いです。手袋にねじった糸がついているものをみたことがあり、何だろうと思ってましたが、これも糸端として飾りにしているのかもしれません。

 

5日目は木彫りのスプーンのワークショップと、アヌー・ラウドさんの大展覧会に行く予定でしたが、日本を出る前から体調があまり良くなかった私はとうとう寝込んでしまい、キャンセル。アヌー・ラウドさんの展覧会はクラフトキャンプの前に見ていたので問題なかったのですが、初めての木彫り体験はできませんでした。

 

キヒノ手袋のカフス部分を編む

 

ワークショップ

 

6日目は、キヒノ手袋のカフス部分を編むワークショップ。先生は、2005年にエストニアで「ノルディック ニッティング シンポジウム」が開かれたときのキヒノヴィッツの先生だったリーナさんでした。2色の作り目は前回と違い、もう少し簡単な方法でした。カフスはレース編みなので裾がスカラップのようになる愛らしい編み方です。レース編みなのにそこにいろいろな色を加えるところがキヒノ風で、各自先生の持っている毛糸から色のついた小さな糸玉をもらって編みました。サンプルの中から、ちょっと面白いキヒノヴィッツを見つけたので編んでみました。キヒノヴィッツの前後の段に2色で1目づつ交互に編んでおくだけなのですが、なんだか不思議な効果が得られます。

 

キヒノ手袋

 

最後の日は、全員の作品を展示してネームカードを置き、写真を撮ったり出来栄えを誉め合ったりしながら皆さん満足感にあふれた表情をしていました。そして修了書をもらい、やれやれと思っていたら各自一言挨拶を求められ、あたふた!そして帰国する人、もっとエストニアを旅する人、それぞれ「また来年」と言って別れました。こうして私の初めてのクラフトキャンプは終わりました。

 

林ことみさん プロフィール

 

ニット、刺繍、ソーイングなどの分野で活躍する手芸ジャーナリスト。子どものころから物作りが好きで、息子の誕生を機にベビーニットや子ども服を雑誌で発表するようになる。2000年から、ノルディック・ニッティング・シンポジウムに参加。’15・’17・’19年に続き、’21年も山梨県清里で「ニッティングデイズ」を企画・開催。ておりやの糸だけを使った作品集『今日は何編む?』や『林ことみのパターンコレクション』(いずれも日本ヴォーグ社刊)をはじめ著書多数。

 

 

ておりや通信『te』vol.87
林ことみのハンドメイドNavi〈拡大版〉より

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