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2018/09/27
しなやかさと美しい光沢が特徴の「シルク」。肌にやさしく、季節を問わず使える素材なので、手仕事の素材としてもオールシーズンOK。さまざまなアイテムを作って楽しめます。
今回は、そんなシルク糸の中でも、手編み・手織りに使いやすい「スパンシルク」の糸についてご紹介しましょう。
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「スパンシルク」という言葉、ご存じですか? スパンシルクとは「紡いだ絹」。日本では「絹紡糸(けんぼうし)」とも呼ばれています。
シルクといえば、繭から引き出した、細く長い糸(生糸)をイメージされる方が多いと思います。一つの繭から繰り出される生糸は、長いもので1Km以上の長さになり、自然界では唯一の「長繊維素材」と言われます。
これに対し、スパンシルクの原料は、シルク繊維を短くカットした「短繊維」。その繊維を絡み合わせ、綿状にして糸にします。つまり、ウールやコットンの糸を作るのと同じように、「紡績」の工程を経て作られるシルク糸です。
スパンシルクは短い繊維を紡いだ糸なので、繊維間に空気をたっぷり含んでいます。そのため、長繊維を撚った生糸にはない“ふんわり感”をもった糸になります。
なお、シルクの光沢は、繊維を構成する「フィブロイン」というたんぱく質の特性によるもの。繊維を短くして糸にするスパンシルクは、ツヤ感もふんわり。やさしい光沢になります。
スパンシルクは短繊維を紡ぐので、糸としての強度を確保するのにある程度の太さが必要になります。そのため、生糸のような極細の糸を作るのには適していません。
ただし一定の太さがあることでメリットも。比較的もつれにくく、趣味の手編み・手織りを楽しむ人にも扱いやすい糸になります。
玉繭(2頭のカイコが1つの繭を作ったもの)・穴あき繭などは、生糸をとるのには適さず、「くず繭」などと呼ばれています。また、繭から絡んで出てきた糸など、生糸を作る際には副産物(「キビソ」といいます)も生じます。
たとえ生糸にはならなくても、これらも自然が作り出す、貴重な資源です。スパンシルクはこれらの原料から作られる糸。自然の恵みをムダなく利用した、エコな糸ともいえます。
シルクは、お値段も高めのぜいたく素材。ただし、キビソやくず繭を糸にするスパンシルクは生糸と比べて原料費が安くなります。
だから同じ「シルク100%」でも、お値段は抑えめ。これもうれしいポイントですね!
シルクの歴史は5000年にのぼるといわれます。その長い時間の中で、人はカイコの改良を重ねてきたため、現在はおびただしい数の品種が存在します。
スパンシルクは、その繊維を短くして用いるので、さまざまなシルク同士のミックスが可能。それに、ウールや麻など、シルク以外の素材との混紡もできます。
いろんな素材が混ざっていると、それぞれの素材の個性が糸の表情に表れます。素材によって染まり方にも差があるため、色彩に微妙な濃淡が生じることもあります。
そんなふうに多様な表情、また用途に応じて多彩な糸ができる点も、スパンシルクの特長です。
長繊維の生糸の場合、その太さは、数字が大きいほど太いことを表す「デニール」(単位記号=D)で表されます。
一方のスパンシルクは、ウール糸に用いる「毛番」に換算して表示されることが多く、この場合は数字が大きいほど細い糸、ということになります。
ここで、ておりやオリジナルのスパンシルクをご紹介しましょう。
「発色の良さ」も、シルクという素材の大きな魅力。そこで、深い濃色に加え、淡いニュアンスカラーも充実させました。
4.1番単糸の毛糸に相当する、ニットにも使いやすい太さ。いま人気を呼んでいる糸です。
ワイルドシルクをミックス。異なる素材を使うことで、質感や染め色に独特の表情を持ったシリーズです。
太さは7.2番単糸相当(毛番)。細めの糸で手織りしたり、ほかの糸と引きそろえて編んだり、いろんな使い方で楽しまれています。
シルクをふんわり甘撚り(ロービング)で仕上げました。そのやさしい肌ざわりや素材感を、作品にたっぷり生かしてください。
太さは、5番単糸相当(毛番)になります。
同じ番手のシルク糸を、約120m(約20g)の小巻にした「ロービングシルク」も扱っています。こちらもチェックしてみてくださいね!